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BLEACH329話-アニメ

霊骸に紛れ、期を窺っていた、涅が動き始める。
涅は、影狼佐を切ると同時に、影狼佐に思考を停止する薬も注入する。同じ科学者だけあって、相手が恐怖することを認識している。
涅が影狼佐に注入した薬とは、思考を停止させるものだった。「科学者にとって、最も恐ろしいことは、忘却。科学者は、命を賭して己の知識を様々な形に変形させ発展させる。それは何ものにも変えられない、我々の魂そのもの。」人は、誰でも、思考を、知識を奪われることは怖いだろう。それは、自分が分からなくなるから、知識が足りないせいで今まで通りの生活を送ることができなくなるから。しかし、涅の言葉通りならば、科学者にとっては少し意味が違うのかもしれない。科学者にとって、自分の思考は自分のものであって、自分だけのものではない。というのは、科学者は、自分の思考を残そうとする。しかし、それは、他人に役立つもののため、他人のために残すという意味合いも含まれる。思考をなくしたとき、普通の人は、将来における自分の不都合に恐怖する。しかし、科学者は、記憶そのものの消失に恐怖している。科学者とそれ以外の人間とでは、記憶、思考そのものの価値観が違うのかもしれない。
対して、影狼佐は、涅の言うことに同意し、加えて、「自分の創造した物が忘れられ、時の狭間に葬られるのは許しがたい」と言っている。わたしは、これは涅に同意しているが、同様のことを述べているわけではないと考える。と言うのは、影狼佐は、記憶それ自体の忘却を恐れているのではなく、自分の記憶が将来において、忘れられることを恐れているように感じたからだ。もし、その通りならば、影狼佐は、科学者として実験を再開することを望んだのではなく、単なる普通の人間として、私欲のために実験の再開を望んだこととなるのではないだろうか。

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